アキバを食べる

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黄衣の王

黄衣の王 (創元推理文庫)

黄衣の王 (創元推理文庫)

 

 読了
 クトゥルフ神話において、ハスターに関わる謎の書物として度々言及される『黄衣の王』の翻訳本が、初版発行から115年目にしてようやく発売。
 よく誤解されるが、この本は『黄衣の王』という本を巡る物語が収録されている短編集であり、『黄衣の王』そのものが収録されている訳ではない。
 読んだ者はみな気が狂うという『黄衣の王』の設定は、後のクトゥルフ神話に登場する魔導書そのものであり、ラブクラフトやその追従者達がこの本から受けた影響の大きさがよく判る。

 

 なお『黄衣の王』に関連した作品は巻頭に掲載された短編4本だけで、それとは別に同じ作者の著作から長編ホラー小説を1本収録されてている。
 クトゥルフ界隈ではホラー作家として認識されているロバート・チェイムバーズだが、彼が書いた作品のうち、ホラーと呼べるのはこれらの作品だけで、他の多くは普通の恋愛小説や歴史小説の為、こういった変則的な収録方法をとったとの事。
 やはり現物を読まないと判らない事は多い。