アキバを食べる

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帝国の危機〈2〉本土上空攻防戦

 このシリーズの面白い所は、牟田口廉也木村兵太郎と並ぶ陸軍三大卑劣感の一人、富永恭次が主役級の扱いを受けている事です。
 実在の人物としての富永恭次は、息子まで特攻させておきながら、自分の身が危なくなったら、部下も味方も放り出して敵前逃亡を図った陸軍屈指の卑怯モノとして知られている訳ですが、歴史が変われば立場や行動も変わるという事で、彼の逃げ足の早さも、ある種の決断力、防御の巧みな人物として扱われています。
 この作者は、なにかと評判が良くない栗田健男を活躍させたり、山本五十六をただのオッサン扱いしたりと、歴史上の人物の扱いが一筋縄でいかなくて面白いんです。
 ところで、表紙のイラストはどうも大和のようなんですが、この作品では談合の都合上、大和の備砲配置が史実とことなっているはずなのに、なぜか史実の大和と同じ砲配置になっているんですよね。
 イラストレーターと作者の間での意思疎通が不十分だったのか、けど、挿し絵の内容は適切なのが不思議。
 編集サイドの不手際なのか、表紙に大和か零戦がいないと売れ行きが落ちるという架空戦記業界のジンクスに従ったが故のウソ表紙なのか、どちらにしろ、こういうのって萎えるよなぁ。